これまで述べてきたように、学問とは、自らの欲求や使命感を満足させるために自発的に行う行為であるとともに、自己満足の世界でもあった。城西大学の西勝忠男教授によれば、「学問とは知的営為の世界」という。又、ノーベル物理学賞の湯川秀樹博士は、「学問とは、自分を納得さすことだ」という心境を語っている。いずれにしても、学問は己の脳という「私的な空間」の中で展開されているものにすぎない存在である。
そのため、他人との関係によってさらなる学問の進歩や発展の糸口を期待したり、あるいは普遍的な価値を獲得したい場合には、私的な空間で形成された学問内容を外の社会に向けて発信する必要が出てくる。つまり、己の脳という私的な空間で展開された学問を、情報として公的な社会を形成する大勢の他人と共有するには、双方をつなぐ「かけ橋」としての方法が必要になってくる。例えば、共通認識が可能な言語による会話や論文などの文章による方法があげられる。
ここでは、個人の脳という私的な空間によって展開された学問内容について、普遍的な記述を与えるために、論文という方法を用いたい。普遍的な記述とは、「わたしにとってそうであるだけでなく、あなたにとっても、誰にとってもそうであるとわたしは思う」というものである。さらにここで扱う論文とは、「ある問題についての、自分の主張をなんらかの調査に基づいて、合理的な仕方で根拠づけようとする、一定の長さの文の集まり」である。
さて、これから論文という手法を用いて、己の学問内容に普遍的な価値を与えようとする「問題児の問題作」は、次の三点である。
第T章:何故、日本の物価は世界と比べて高いのか(経済学)
以下で、基本的な論文の作法を踏まえながら、上記の三つの問題について論じていきたい。 |
序章 学問とは自発的行為である 学問とは自己満足の世界である 学問的行為者の学問的行為 学問は必ずしも社会の役に立たないのは当然 私的空間と公的空間をつなぐ方法−論文− 序章での引用文献・参考文献 第T章 何故、日本の物価は世界と比べて高いのか(経済学) (1)はじめに (2)為替レートの変化 (3)内外価格差の現実 (4)むすび 第T章での引用文献・参考文献 第U章 何故、戦争は起こるのか(国際政治学) (1)はじめに (2)戦争の歴史 (3)経済的要因からみる戦争の出現 (4)生物学的要因からみる戦争の出現 (5)何故、戦争は起きるのか (6)経済制裁で、北朝鮮を追いつめてはいけない (7)むすび 第U章での引用文献・参考文献 第V章 何故、男は女を愛し、女は男を愛するのか(大脳生理学) (1)はじめに (2)男が女を愛し、女が男を愛する理由 (3)男と女の関係を決める要素は何か (4)男と女のつりあった関係 (5)むすび 第V章での引用文献・参考文献 終章、あとがき |