深圳における新型コロナ(COVID-19)の感染情況は、深圳市衛生健康委員会のホームページで毎日公表されています。現在(9月28日)は感染が471人(無症状感染は含まない)、死亡が3人です。感染471人は広東省の省都・広州の705人の次に多く、死亡3人は広東省全体が8人なので、広東省最多となります。
深圳の感染対策に対する評価は、比較対象の設定によって変化するでしょう。ここでは、隣接する香港と東莞と比較しながら、新型コロナが深圳に与えた影響をミクロの視点でレポートします。
防疫期間が半年以上になり、深圳経済を観察する中で感じられるのは、これまで深圳経済の根底にあった「利益互恵」(Win-Win Principle)と「利益追求」(Profit Principle)の原則が変化しつつあることです。どのように、どの程度変化するのかはまだ不明確ですが、「利益互恵」から「利益相反」(Win-Lose Principle)、「利益追求」から「会社存続」(Survival Principle)へ変化しているように感じられます。これらの変化が感染の拡散期と収束期だけにおける一時的な変化か、或いは封込期(終息期)にも継続する変化なのかどうかにも関心があります。
深圳は短期で感染を収束させ、中国政府が推奨する業務再開(中国語で復産復工)をしました。このまま東莞のように短期で封込を継続し、防疫期間を終了させたいところでしたが、深圳空港の国際便数が増加すると境外からの入境者の感染が断続的に報告されています。これは、上海や広州と同様の状況であり、少しでも防疫体制に緩みがあれば、市内感染が発生しかねない状況です。
深圳は香港との強制隔離なしの出入境再開問題もありますが、この問題については先行するマカオと珠海のようにできない状況です。
このような深圳における防疫期間の長期化は、消費者の需要を変化させ、特に中小企業の経営に深刻な影響を与えつつあります。
深圳には、世界500企業級のファーウェイやテンセントに代表される大企業もあります。これら大企業は国際的にモノ、カネ、ヒトを動かしているので、深圳の防疫期間の長期化は、国際経済にも影響します。深圳空港の国際便の増加は、これら大企業の経営活動と密接な関係があるでしょう。
もちろん国際的に経営活動をする深圳の大企業は、世界経済の動向からも影響を受けます。世界における防疫期間の長期化が、1918年のスペインかぜや1929年の世界恐慌に匹敵する、或いはそれ以上の歴史的転換点になってしまうようなら、全世界規模でも消費者の需要が超長期に変化させられるような深刻な事態になってしまう可能性もありますし、当然深圳の地域経済にも非常に深刻な影響があります。
1、深圳における「利益相反」原則(Win-Lose Principle)
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2、深圳における「会社存続」原則(Survival Principle)
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3、深圳における需要変化(Demand Shift)
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中国における定年の60歳までにはまだ十数年あり、60歳以降も健康なら働きたいと思っています。現在は深圳に不動産がありますので、30代に北京から香港に転職したような大きな決断はしにくい状況です。個人的にも今後の人生設計をどのようにするのか決定するために深圳と香港の経済動向はできるだけ正確に把握する必要があります。
とりあえず60歳までは深圳、或いは香港で働いて老後の生活資金を貯えようとしていたのですが、今後の深圳と香港の経済動向で画餅に帰すかもしれません。もちろん深圳と香港の経済が長期停滞すれば、それは私の老後資金問題だけでなく、より大きな問題を引き起こすことは間違えありません。