市場経済で会社は「利益追求」原則で行動します。好況で黒字なら利益を最大化し、不況で赤字なら損失を最小化するために会社を閉鎖します。
しかしながら会社は非「利益追求」原則で行動することもあります。ここでは深圳で観察した非「利益追求」原則を仮に「会社存続」原則と呼称し、ご紹介します。
防疫期間における最も大きな私の変化は弁当を持参するようになったことです。
一方、タクシー運転手さんは自分で洗車をするようになったことかもしれません。
深圳はとりあえず感染が封じ込められており、私は毎朝散歩ができるようになりました。先週の日曜日に近所の公園で十数台のタクシーが自分で洗車しているのを見ました。以前はせいぜい週末に数台が自分で洗車するのを見るくらいでした。
原因の1つは近所の洗車会社が防疫期間に運営していないからです。以前は数台のタクシーが行列を作って、おばちゃんに洗車してもらっているのをよく見ました。
もう1つは、私と同様にタクシー運転手さんも支出削減をしているのでしょう。一時的にタクシー通勤をする人が増加したくらいでは、運転手さんの財布のひもは緩まないようです。経済の先行きが不透明なので、支出削減は自己防衛のために仕方ありません。しかし、この傾向が継続すれば、個人消費はますます冷え込んでしまいます。
夏休みになったからでしょうが、7月下旬から写真のような広告を見かけました。地下鉄車両、駅ホーム、エレベーターに貼られていました。全て深圳のテーマパーク等です。
880元(約13,487円)が399元(約6,115円)、3,266元(約50,054円)が999元(約15,310円)にと約7割引きまであります。
生き残りのための地元客の争奪戦が始まっているようです。
タクシー運転手さんは、洗車サービスを利用して時間を節約し、時間を仕事に配分することで利益を最大化できるでしょう。時間を仕事に配分しても利益が最大化できなくなれば、費用を節約するために時間を費やして自分で洗車をすることもあるでしょう。深圳でもタクシー運転手さんは景気に敏感に反応します。
テーマパークはお客が来なければ、仕事になりません。市外からの外来客が期待できなければ、市内の地元客を集客するしかありません。7割引きでは入場券で充分な利益がないかもしれません。来場してもらえれば、入場券だけでなく、テーマパーク内での消費が期待できるので、トータルで損失にはならないということなのでしょう。