第1章の中国経済の特徴では、下記の3つの特徴を提示した。
第2章の開発経済学のアプローチでは理論を用いてできるだけ客観的に分析した。
上記の5つの結論を得たが、欧米の経済発展の経験から抽出されたW.W.ロストウやW.A.ルイス卿の理論は中国経済のメカニズムを十分に説明できるものではなかった。これは本論が主流派経済学のいわゆる近代経済学の経済開発論で分析したためである。
第3章の農村における近代的工業部門では中国経済の特徴と理論だけでは不十分だと思い、できるだけ統計資料を使って中国経済を把握するようにした。中国経済全体では漠然としてしまうので、経済発展の牽引役として期待されている郷鎮企業に対象を絞った。
上記の3つの結論を得て、新聞や雑誌上で時折見かける郷鎮企業が経済発展の主役になるとの見解は、その期待ゆえの希望的観測であり、中国経済の現状と経済開発の理論に裏付けられていないと言える。経済開発論と統計データの分析から得られる推測は下記の通りである。
この論文を書くことを通じてこれからの課題がずいぶんはっきりしたように思う。最後にソフォモアセミナ−から3年間指導していただいた張紀潯先生に感謝して本論の結びとする。
はじめに 第1章 中国経済の特徴 第1節 比較体制論と経済開発論 第2節 中国の経済史概略 第3節 巨大な国土と人口 第2章 開発経済学のアプローチ 第1節 工業化政策 第2節 W.W.ロストウの離陸 第3節 二重経済発展モデル 第3章 農村における近代的工業部門 第1節 郷鎮企業の発展過程 第2節 郷鎮企業の統計分析 おわりに 参考文献 |