……………。 原罪 ―― アダムがエバにそそのかされて食べてしまった禁断の果実。罪の果実。 それだけでは無い。たとい原罪と言うものが存在しないとしても、人は罪を犯さずに生きてゆけるものなのであろうか。僕は何かを食べながら、消費しながら生きている。つまり、動物や植物を殺し、その死骸・死肉によって生きている……否、生かされているのだ。虫も殺さぬような顔をしながら、平気で、動植物の死骸をついばんで生きているのだ。人間どもの生命とは、その他多数の尊い生命を踏みにじる事によって成り立っているのだ。人は罪を犯さずに生きてゆくことなど出来はしないのだ。 ―― 人の子よ! 滅びるがいい! ――
だがしかし。罪を犯す事が本当の罪であるかどうかは、それぞれの、その後に行動にもよるのではないか。そうじゃないか、他を殺す事が罪ならば、人は皆、咎人になってしまうではないか。
僕は怖い ―― 本当に生きていて良いのか。 怖いんだ。生命活動を行う事が。そして、それによって蓄積されて行く僕の罪が。
助けてくれ!
……ハン。無理だな。神とは罪に対する罰の執行者であって、救済者ではない。そして何より、僕は神を信じていない。
どのような罪を犯し、どのような法に触れ、どのような処罰を受けるのか。 |
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