何故僕は捕まってしまったのだろうか。
何か悪い事でもしたというのか。
……多分、そうなのであろう。何か「社会」にとって不利益な行動をとってしまったが故に、この『社会から隔離された場所』に連れてこられたに違いないのだ。
『社会』。つまり社会とは『人々の集まりによって構成され、ある一定の規範を人々同士の間で設け、そのルールに従う者のみを選択し、再構築されていったされていった世界』である。当然の事ながらその社会規範に適合できずにドロップ・アウトしてしまう者もいる。しかしこの僕が、そのアウトサイダー側に廻ってしまうなんて!
社会から……社会的動物である筈の人間と言う規範から、外されてしまうなんて。
僕は今まで堅実に生きてきたつもりだ。至極平凡な生活を営み、育んできたつもりだ。いや、正確には『つもりだった』になるのであろう。しかしそんなことを言ってももう遅いのだ。実際にもう、ドロップ・アウトして(捕まって)しまったのだから。
……多分、何か法に抵触してするような事をしたから捕まった筈だ。果たして、僕は法に触れるような事をした事があったであろうか。
いくら考えても解らない。
いくら考えても答えに辿り着けそうに無い。
とりあえず、僕が何か罪を犯したと仮定してみよう。
それはどんな罪でも良い。罪をおかしたと仮定するのだ。
僕は罪を犯した。
どんな罪かはハッキリとしない。だが、、ここにこうやって監禁されている以上、何か罪を起こしたと言うのは事実なのであろう。
しかし何てことだ! 罪を犯した覚えも無いのに罪を犯したと仮定しなければならないなんて。罪を犯ていたとしてもそれに気が付いていないなんて!
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