良く晴れたある日。僕は優雅にも庭で午後の紅茶を洒落こもうとしていた。
いきなり後ろから声がした。何だ? と思いながら振り替えると、やたらと緊張した面持ちの男が三人、立っていた。
すると後ろに控えていた、かなり年配の男がズイと前に出てきた。何やら書いてある紙を突きつけるようにして僕に見せた。ついでに黒い手帳も。
逮捕状? こんな薄っぺらい紙が? と、言うことは、この黒っぽい手帳は……まさか警察手帳! 間違いない、これがあの、菊の御紋が入った警察手帳なのであろう。
「な、なんなんですか、これは!
立ち上がりガーデンテイブルを力強く叩く。その拍子に気を落ち着けると言うラベンダーのハーブティーがひっくり返った。
真後ろからの声にたじろぎ、一瞬凍り付く。ゆっくりと後ろを振り返る。若い男が銃を腰だめにして僕を狙っていた。多分この若い男も警察の人間なのであろう。彼の持つその銃はカタカタ、カタカタと震えていた。 トリガーに指を掛けている。この位置からじゃ安全装置が外れているかどうかなんて解らない。まあ、それ以前の問題として、安全装置がどこにあるかなんて知りもしないのだが。ただ、今本当に分かっているのは、下手なことをしたら撃たれてしまうであろうと言うこと。いや、下手なことをしなくても暴発しかねない。
始めに声を掛けてきた、年配の男が僕に指示を出した。
言われた通りにする。若い男の持った拳銃の銃口はピタリと……ではないが、未だ僕の方を向いていると言うことには変わりが無い。
ドスを聞かせた声で僕を脅し、年配の男がゆっくりと歩み寄ってくる。僕の足を蹴っ飛ばすようにして肩幅に拡げさせ、服の上から身体中をバシバシと叩いた。
「持っている訳無いじゃないですか。ここは日本なんですよ。アメリカなんかじゃあないんだ」
「んっ、これは……」
「これはなんだ」
彼は片方の口の端を不自然にあげて言った。 |
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