News方法書類(1)書類(2)申請トップ

中国就労ビザを申請する前に

条件を整えてから申請しよう!

内田真人

2010年8月

はじめに

 実際に中国就労ビザを申請する前に申請の条件が整っているか、自己点検することをお勧めします。

 中国就労ビザの申請は、申請者だけでなく、中国の現地法人も審査されます。

条件を整える 申請者

 申請者が提出する書類には、履歴書や卒業証明書や退職証明書があります。主に年齢学歴及び職歴が審査されています。

 年齢は、男性で60歳以上女性で55歳以上になると就労ビザの取得が難しくなります。中国では管理職の方がだいたいこれらの年齢で定年退職するからです。これら以上の年齢の方は、経営陣として中国就労ビザを申請したほうがいいでしょう。具体的な役職は、「社長(総経理)」や「取締役(董事)」です。

 なお、年齢が24歳未満の方は、男女とも申請を見合わせたほうがいいかもしれません。中国就労ビザは大学卒業以上で当該業務の職歴が2年以上の方が想定されているからです。

男 性 女 性
経営陣*1 〜65歳*2 〜65歳*2
管理職*3 24〜60歳 24〜55歳
*1:具体的には、「社長(総経理)」や「取締役(董事)」です。
*2:経験上、新規申請で65歳まで、延長申請で67歳ぐらいまででしょう。
*3:具体的には、「部長(高級経理)」や「課長(経理)」です。

 学歴は、大学卒業以上が求められています。大卒未満の方は、それを補う「職歴」や「資格」があれば、中国就労ビザを取得できる可能性があります。

 なお、大卒以上でも「中国語」専攻の方は注意が必要です。中国就労ビザの審査では、中国人スタッフでは代替できない専門性の有無という観点があります。専門性として中国語だけを強調してしまうと日本語のできる中国人を雇用するように指導されて、中国就労ビザが交付されないケースが発生しています。

 職歴は、当該業務で2年以上が求められます。例えば、「総務」で5年の経験があっても、中国で「営業」をする場合には職歴不足と見なされる可能性があります。また、職歴を証明するためには、「在職証明書」や「退職証明書」が必要です。これらの書類が準備できないとせっかく職歴があっても認められないケースもあります。

 なお、中国で職歴がある場合は、「就業証キャンセル証明(就業証取消証明)」の提出が求められます。中国では、出入境記録のコンピューター管理が急速に進んでいますので、中国就労ビザの交付期間と職歴に矛盾がないように注意してください! 

修士以上 大卒 短大卒*1 高卒*1 中卒以下*2
学歴基準 ×
職歴基準 2年以上*3 2年以上 4年以上*4 6年以上*4 ×
*1:「職歴」や「資格」で補えれば、可能性があります。
*2:経験上、中国就労ビザを取得したことがありません。
*3:新卒で、職歴がなかったのですが、中国就労ビザを取得できたことがあります。
*4:経験上、これら以上の職歴が必要だと言えます。

 これらの他に健康診断書も提出しなければなりません。健康状態が審査に影響を与えることもありますし、一部病気は完治していても中国就労ビザの不交付理由になります。

条件を整える 現地法人

 中国の現地法人が提出する書類には、営業許可書や決算書や事務所の賃貸契約書があります。主に中国人スタッフ規模及び事務所が審査されています。

 中国人スタッフを雇用していないと中国就労ビザの取得が難しくなります。中国就労ビザを申請する時に中国人スタッフの身分証と連絡先を登録する必要がありますので、手続き上に不都合が発生します。あくまで目安ですが、中国人スタッフは、外国人スタッフ(香港や台湾の方を含む中国就労ビザを持っている方)より多いのが理想です。

中国人スタッフ ≥ 外国人スタッフ

 規模は、資本金売上がチェックされています。つまり、大企業ほど中国就労ビザが取りやすいと言えます。一部の当局は、大企業用の専用窓口を設けているほどです。逆にどの程度の規模があれば、中国就労ビザが交付されるのかは、業種によって違いますので、一概に論ずることができません。

大企業 > 中小企業

 事務所は、賃貸契約書の提示を求められることがあります。また、事務所にお役人がご来訪することがあります。アポ無しのご来訪もありますので、注意が必要です。中国就労ビザの申請中は、まだ中国では「就労」できませんので、お役人への応対には細心の注意が必要になります。

 これらの他に法人形態にも注意しなければなりません。例えば、外資企業は中国就労ビザを取得しやすいが、内資企業は取得しにくいと言えます。内資企業は、外国人を雇用する必然性を当局に認めてもらうのが難しいからです。

外資企業 > 内資企業

申請のポイント ””を使う!

 前任者の交替で、出向するケースは、””があるので、取得しやすいです。一方、増員で、現地採用されるケースは、””がないので、取得しにくいと言えます。

 まず、交替増員ですが、交替の方が増員より取得しやすいです。前任者の交替で、中国就労ビザを申請する時、業界では””があると言います。””を使って申請すると申請者と前任者の学歴や職歴に大差がなければ、かなりスムーズに取得できます。

交替 > 増員

 現地法人を設立し、初めて中国就労ビザを申請した時には、非常に大変だったが、その後の申請では、非常に簡単だったということがよくあります。これは、””を使った申請ができるようになったからだと言えます。

 次に、出向現地採用ですが、出向の方が現地採用より取得しやすいです。出向者は、職歴と中国でする仕事に関連性がありますし、職歴証明に「在職証明書」を使用することもできます。また、一般に現地採用に比べて、待遇がいいので、中国就労ビザが取得しやすくなります。

出向 > 現地採用

 最後に整理すると下記のようになります。

出  向 現地採用
交  替
増  員 ×*1
*1:申請に失敗するのは、現地採用増員が多いようです。

 これらの他に申請書類のコピーを忘れてはなりません。万一、失敗して、代行業者に依頼する場合には、どのような書類を当局に提出したのか分からないと対策がたてられないことがあるからです。

おわりに

 中国就労ビザの申請は、申請者と中国の現地法人が総合的に審査されます。

 年齢学歴職歴の条件が整っていない申請者は、中国人スタッフの多い外資系大企業なら中国就労ビザが取りやすいでしょう。具体的には、日系の大手製造業が取得しやすいです。特に地方の大手製造業は、地方経済に大きな影響力があるので、中国就労ビザの審査でも優遇される傾向があります。

 逆に申請者は条件を満たしているが、中小企業が、増員現地採用の申請をしてしまうと中国就労ビザが交付されないことがあります。

 もちろん申請者も現地法人も条件を満たしていないと中国就労ビザの取得はかなり難しいと言えます。このような場合は、条件が整うまで申請しないことや費用がかかってもプロの代行業者に依頼することを検討しましょう! 

Copyright(C) M.U Personal Network.