深圳見聞

勤務先の防疫対策

内田真人

2020年10月3日

はじめに

 勤務先は深圳地下鉄「車公廟」駅から徒歩5分のオフィスビルに入居しています。ここでは勤務先の防疫対策を中心に勤務先より先に業務再開した香港系Y銀行、勤務先が入居するオフィスビルの防疫対策もご紹介します。ご勤務先での防疫対策の参考になればうれしいです。

 

2月5日「香港系Y銀行の中国式仕事始め!」

検温

 一昨日(2月3日)から中国では一部企業の営業が再開されました。中国大陸に支店を持つ香港系Y銀行も一部の支店で仕事始めになりました。春節前からの懸案事項で自宅から歩けない距離ではないので、食料買い出しも兼ねて行ってきました。手続き自体は他に客が見られなかったこともあり、非常に順調にできました。

 入店の際には警備員さん(中国語で保安)から検温をされたのですが、額に機器を近づけて瞬時に計測する検温計でなぜか2回続けて「33度」でした?! 4回目でようやく平熱「36度」ぐらいが計測され、検温から解放されました。警備員さんの手際の悪さに少々イライラしましたが、できるだけ堪えてニコニコ対応しました。

 検温つながりでもう1つ気づいたのは、あるマンションは立入に際して警備員さんが銀行と同様の検温計で車の運転手にも検温をしていました(写真1-14参照)。検温だけでは無症状感染をチェックできませんが、できる対応をして、できるだけ感染を抑制しようとしていました。

 ちなみに私が居住するマンション1階でも一昨日夕方から同様の検温が開始されました。

今回のまとめ:警備員さんも誠実に検温してくれているので協力! 「ご苦労様です!」
でも、検温器の精度に不安があるので、検温器の誤った数字でどこかに連行されないかが少しだけ心配です!

写真1-14:とあるマンションの入り口で検温する自動車運転手(2月4日)

検温する自動車運転手

消毒

 1月24日からエレベーターボタン等の消毒記録が1日4回あることはご紹介しました。

 昨日(2月4日)も継続されています。

 マンションの消毒担当者も誠実に最善を尽くしているようで、業務の改善が見られました。

 写真1-15と写真1-16からも分かりますが、サランラップが貼られていました。

 ちなみにサランラップが貼られていても不特定多数がサランラップ越しにエレベーターボタンに触れなければならないので、他の居住者がすでに実践していたのに倣い、ポケットティッシュを持参し、できるだけティッシュペーパーを介して外部のモノに接触するようにしています。

 それから、接触つながりですと中国現地系大手の中規模Rスーパーでは、レジの店員さんがもちろんマスクを着用していましたが、薄手のゴム手袋もして業務をしていました。

 居住地域の附近では各自ができる対応をして、できるだけ感染を抑制しようとしていました。

今回のまとめ:マンションの消毒担当さん(掃除のおばさん?)も店員さんも「ご苦労様です」
投資家の方に朗報かもしれません。
マスク、漢方薬の双黄連と売り切れが続出していますが、次は検温計やサランラップかもしれません。
ぜひ、関連株を購入し、経済の下支えをしてください!

写真1-15:エレベーターボタン

エレベーターボタンサランラップ

写真1-16:門開閉スイッチ

門開閉スイッチサランラップ

物価

 一昨日(2月3日)に中国現地系大手の中規模Rスーパーで買い出しをしました。

 写真はRスーパーで、野菜果物を含む生鮮食品の物価もほぼ安定していました。

 物価は1月30日にも微信を含むネットユーザーの情報を共有しました。

 ここでは、実際に訪問した下記の4店舗からの判断ですが、少なくとも下記では中国政府の物資は充分(中国語で供応充足)が実現しています。

 個人的にはしばらく食料補給に一安心です。

写真1-17:現地系大手の中規模Rスーパー(1)

現地系大手の中規模Rスーパー(1)

写真1-18:現地系大手の中規模Rスーパー(2)

現地系大手の中規模Rスーパー(2)

マスク着用率100%?!

 一昨日(2月3日)に中国現地系大手の中規模Rスーパーで買い出しをしました。

 マスク着用率については2月1日の見聞として情報を共有しました。

 2月1日は数十人ぐらいでしたが、今回はちょっと遠出をしているので百数十人は見ました。

 着用マスクは、本物かどうか分かりませんが、N95型のようなもの着用が数名いました。

 やはり安全のために一般人民でも医療用を着用する人はいるようです。

 それから、Rスーパーでもマスク着用の張り紙があるため、スーパー内ではやはり着用率100%でした。

 しかし、スーパー外ではマスク不着用数名、あごマスクも含めると10名ほどがきちんとマスクをしていませんでした。

 よって、今回の外出ではスーパー外でのマスク着用率は95%前後です。

 あごマスクで目に付くのは喫煙者です。私は喫煙しないので分かりませんが、喫煙者にとって四六時中マスクをしているのは耐え難いようです。

 1月25日(中国語で初一)からカウントすると10日になるので、そろそろ限界なのかもしれません。

 今でも時々マスク着用を促す個人の微信配信があるのは、各地でマスク着用率100%が未達成だからかもしれません。

 写真撮影をしたかったのですが、無用な争いになる可能性があるので、しませんでした。

 代わりと言っては何ですが、写真は近所の薬局で、大書してマスクと(消毒用)アルコール(中国語で酒精)が品切れ(中国語で無貨)とあります。

 近所では1月28日にマスクが品切れでしたが、2月3日もマスクが品切れでした。

今回のまとめ:油断大敵!

補足:投資家の方に朗報かもしれません。持久作戦になると禁煙関連商品は需要が伸びるかも...。マスクをしながら吸える煙草のようなもの、或いは煙草が吸えるマスクなんて有望なのでは?!

写真1-19:マスクとアルコールは品切れ

マスクとアルコールは品切れ

中国最新モード

 一昨日(2月3日)から中国大陸に支店を持つ香港系Y銀行も一部の支店で仕事始めになりました。

 行員の方は制服にマスク着用のみで、まだ最新モードは採用していませんでした。

 微信とFacebookで取得した写真も交えながらご紹介します。

 写真1-20:1月28日13:24に福田口岸で撮影した口岸職員の写真です。香港入境拒否者を中国側に送り届けるところのようです。後ろ姿しか分かりませんが、全身真っ白な清潔感が印象的です。靴には青の使い捨てビニールカバーが見られます。

 写真1-21:Facebook上の写真を共有させてもらいました。正面からで白を基調にしながらもスカイブルーのラインが印象的です。両目を保護する透明ゴーグルと医療用でなければいいのですが、活動に便利な薄手の手袋もポイントです。中国ローカル航空会社さんのようです。

 写真1-22:マスク、眼鏡、帽子の3点がポイントです。女性なので、露出を抑えながら、帽子は落ち着いた色合いで洋服と合わせているようです。中国人で20台後半ぐらいの方です。

 写真1-23:マスク、サングラス、フード(パーカー)の3点を活用し、カジュアルながら、フォーマル(制服、或いは勤務用服装)の写真1-20と写真1-21に近い「被覆率」(造語、中国語では覆蓋率でしょうか、確かWiFiがどの程度カバーされているか等で使用)を達成しています。実用、或いは実効性に特化しています。日本人男性で40歳前後の方です。

 いかがでしょうか?

 中国広東省では多くの企業で2月10日(月)からの中国式仕事始めが予定されています。

 そろそろ中国最新モードも考慮しながら、どのような服装で出勤するのか検討せざるを得なくなっています。

今回のまとめ:写真1-20と写真1-21のような服装はやはり勤務先支給なのかな。小さな会社は更衣室ないだろうし、いろいろ問題ありそうだ!

補足:投資家の方に朗報かもしれません。持久作戦になると特に女性からは「被覆率」が高く、且つおしゃれな服装が求められるかもしれません。眼鏡、サングラス、帽子、フード、或いは全身タイツ型のアイテム及びこれらのメンテナンス(消毒洗濯等)の関連企業は有望なのでは!

写真1-20:1月28日福田口岸撮影

1月28日13:24福田口岸撮影

写真1-21:中国ローカル航空会社

中国ローカル航空会社(Facebook)

写真1-22:中国最新モード(女性)

中国最新モード(女性)

写真1-23:中国最新モード(男性)

中国最新モード(男性)

 

2月10日「2月10日中国式仕事始めの準備「個人健康自主申告表」!

電子署名

 中国広東省では来週月曜日からの中国式仕事始めの準備をしているはずです。

 深圳市に所在する弊社でも2月5日(水)から総務が中心になって準備をしています。

 2月6日15:07に会社のグループチャットに総務から「個人健康自主申告表(中国語で個人健康自助申報表)」に本日中に記入して電子版を提出するように依頼がありました。

 写真1-26は、Word版の申請表を画像ファイルに変換したものです。

 外出自粛なので、電子版での提出可なのですが、お役所仕事なので、実際に記入を始めると実務上いくつか問題点がありました。

  1. 送付されたWord版のチェックボックスは、電子記入に対応していないようだった。
  2. 右下の申請者署名欄の処理(当初、電子署名を要求)
  3. Word版の保存形式が読み出し専用だったようで、私のPCでは記入後に保存が不可だった。

 会社としては特にこれまで電子署名の使用をしていなかったため、各自がかなり悪戦苦闘しました。

 ネット上の署名画像をWordに貼り付ける電子署名もどきでも当局(会社所在地の街道事務所係員がいいと言ったようで、数十分はそれに悪戦苦闘でした。

 私はようやく電子署名もどきができたところで、当局係員からは最終的になくてもいいと回答があったそうです。

 おそらく対応できない会社もあり、当局としても最終的に柔軟対応にしたようです。

今回のまとめ:中国式の仕事始めが実際にできるまでにはきっと小さな問題は多発するでしょう!

写真1-26:個人健康自主申告表

近所の宅配会社営業所(2月3日)

1月1日からの市外移動記録

 記入に1番困ったのは、項目9の1月1日からの市外移動記録だったようです。

 武漢の新型肺炎に関するニュースは報道されていましたが、中国は広いので何百キロも離れていれば、影響がないと考えて帰省した同僚は少なくないようです。

 また帰省した同僚について若干弁護すると春節の帰省は、特に航空券や長距離電車を利用する場合、だいぶ前からチケットの予約等をしているので、キャンセルはなかなかできません。もちろん春節が、中国の三大長期休暇である春節、労働節、国慶節の中で中国人にとって最も重要であることも帰省した理由です。

 中国における電子書類のファイル形式は、一般にPDFか、Wordです。今回の書類がWordになったのは、申請者によって項目9の記入量が大きく異なるからでしょう。

 幸い私は、春節旅行を取りやめ、ほとんど深セン自宅で過ごしたために項目9の記入自体は容易でした。

 一部のスタッフは移動があまりに複雑で頭を抱えているようでしたし、最後に書類を提出した同僚は17時40分がグループチャットに記録されています。

今回のまとめ:中国は飛行機や長距離電車のチケット購入で身分証が必要なので、政府がその気になれば主要な移動記録は調査可能なはずです。
しかし、身分証提示が不要な地下鉄、バス、自家用車等の移動手段もありますので、
自己申告をしてもらうことでより徹底的に感染の可能性を調査するためなのではないかと思いました。
事務処理は大変ですが、”必ず勝たなければならない困難な戦い”と形容されていますので、理解できます。

補足:写真はWord版を記入後に保存できずに再記入せざるを得なくなった時の素直な気持ちです。もちろんTVドラマ「太陽にほえろ!」1974年のあの名ゼリフ“なんじゃ、こりゃ??!”が1番しっくりきました(写真1-27参照)。ほぼ隔離生活が10日以上になっているので、少々怒りっぽくなっているようです。鬱屈の発散も兼ねて掲載しました。

写真1-27:なんじゃ、こりゃ??!

なんじゃ、こりゃ??!

オフィスビルも!

 中国広東省では来週月曜日からの中国式仕事始めの準備が始まっているはずです。

 会社入居のオフィスビルも入居企業が中国式仕事始めを迎えられることを心待ちにしているようです。

 写真1-30は、2月6日に同僚が会社に行った際に撮影した会社オフィスビルエレベーター内です。

 会社のグループチャットに配信されたので、私も画像が取得できました。

【張り紙 日本語訳】

 使い捨てのエレベーターボタン専用ティッシュ

 使用後は持ち去り、ごみ箱に捨ててください。

 環境に配慮し、節約して、浪費しないでください。

 一緒に疫病に立ち向かい、手を携えましょう。

 日本人の方には張り紙が特殊な状況かどうかが分かりにくいかもしれません。

 撮影した中国人の同僚がわざわざ写真撮影をして会社のグループチャットで共有したのには訳がありそうです。

 1つの推測は、中国では一般的なオフィスビルでは、トイレにトイレットペーパーが常設されていないので、トイレに行く際は自分で紙を持参する必要があります。会社が入居するオフィスビルは、一般的なオフィスビルで紙がない方です。つまり、普段は費用を節約しているオフィスビルでも非常時なので、できる対応をしているのです。

今回のまとめ:広東省のオフィスビルとしては資料13が影響しているかもしれません。資料13については別途ごく簡単にご紹介します。

写真1-30:エレベーターボタン専用ティッシュ

エレベーターボタン専用ティッシュ

オフィスビルは2月の家賃収入がないかも!

【資料13一部 日本語訳】

 ウイルスは無情だが、世の中には愛情があります。広東省賃貸業経営者を代表して全てのオーナーに下記を提案します。

写真1-31:資料13一部(原文)

資料13一部(原文)

 資料13は提案ですが、同文書内で具体例として万達グループが商業賃貸者(中国語で商戸)90万に対し、2月の家賃免除を決定し、総額40億元を明記しています。少なくとも広東省の賃貸業経営者には道徳的なプレッシャーになっているはずです。

 オフィスビルは早く新型肺炎が収束し、日常を取り戻せないと経営がどんどん困難になる可能性があるのです。

 このように考えると会社入居のオフィスビルは、誠実に最善を尽くそうとしているのかもしれません。

今回のまとめ:入居する側の会社にとって2月の家賃免除はありがたいですが、自社社員の給与支払い問題は残されます。
オフィスビルにとっては家賃収入が減少するだけでなく、自社社員の給与支払い問題もあるので、ダブルパンチで経営に大打撃です。
会社入居のオフィスビルは、ダブルパンチになるかもしれないのにできることをやっていると言えるでしょう。
中国人の同僚は、これらに思いやった上で、前回ご紹介した使い捨てのエレベーターボタン専用ティッシュ写真をわざわざ共有したのかもしれません。

体温計も必需品に!

 2月7日に会社の総務から毎日体温を報告するように依頼がありました。会社総務は社員の体温を毎日当局に報告しなければならないようです。

 写真1-32は自宅にあった日系O社さんの体温計で、2月8日の検温結果です。写真1-33は、中国の専門家のコメントです。頻繁に検温しなければならないのは「発熱は依然として(新型肺炎の)典型的な症状」が根拠になっているようです。

 最後に深センにおいて見聞した検温を再度整理します。

 これまでとの大きな違いは、自分で検温しなければならなくなったことです。

 これまで体温計は法人需要がメインでしたが、今後は家庭需要が大きくなりそうです!

今回のまとめ:体温計も品切れになるのかな? 昨日の体温報告は小数第1位まで同じ体温が多かったようにも...?!

写真1-32:日系O社さんの体温計

日系O社さんの体温計

写真1-33:中国の専門家のコメント

中国の専門家のコメント

空のスプレー容器!

 2月9日は長い1日でした。

 会社が明日からの出勤の可否について文書で通知したのは21時45分でした。

 明日からは在宅勤務になります。

 すでに総務スタッフが会社の消毒等の準備を整えていたようでしたが、やはり客観情勢がまだ十分でないからのようでした。

 社員の安全を最優先に考えてもらえたので、率直にありがたいの一言です。

 写真1-34は、2月8日に総務が出勤の準備をしている際に会社のグループチャットにアップロードしたものです。

 値段の15.5元(約244円)/個は、普段の3倍以上に跳ね上がっているので、総務が購入の可否を確認したようです。

 空のスプレー容器は、消毒のためにアルコールを噴霧するので、需要が急増したようです。

 弊社同様に深圳の会社が中国式仕事始めの準備を始めたので、これまでの家庭需要に法人需要が加わったのではないかと推察しました。

 つまり、特に中小企業は、2月10日に出勤再開したい、或いは出勤再開しないと会社が経営上困る状況になる会社が少なからずあるのだろうと考察しました。

 ちなみに内資系大手企業は、すでに2月7日ぐらいまでに中国式仕事始めを更に2月17日まで延長したというのが微信等で流れている情報です。

 なお、実際に内資系大手企業が2月17日からになっているかは確認していませんので、ご注意ください。

 内資系大手企業が2月17日からになったという情報は、ほとんど中国人個人が微信に投稿しているものなのですが、事実かもしれませんが、送信者の願望で、例えば、自分が勤務する会社も大手同様に出勤再開を延期してほしいからかもしれないので、投稿者が事実確認をしているとは限らないからです。

今回のまとめ:モノの値段は地域経済のバロメーター!

写真1-34:空のスプレー容器

空のスプレー容器

 

2月13日「一部企業の中国式仕事始め!」

 東莞は感染者が深圳と広州に比べて少なく、相対的に人口密度も高くないこともあり、当局の事前審査をパスして2月10日から中国式仕事始めをされている日系企業さんがあります。東莞も深圳と同様に出稼ぎ者が多い地域なので、人手は充分でないようです。例年でも春節明けは、フル操業できませんが、新型肺炎(COVID-19)がありますので、当面は人手不足にもメリットがありそうです。もちろんワーカーさんの感染リスクがありますので、早期の操業再開が吉となるか、凶となるかはまだ分かりません。

◆深圳、広州、東莞の感染者数(2月13日午前7時30分)

 以前にふれたことがあるかもしれませんが、私の微信には400名以上が登録されています。2月13日現在では449人です。半数以上が仕事で名刺交換をしたことがある中国人の方です。写真は昨日(2月12日)が中国式仕事始めだった方々です。例年ですとほぼ同日からの仕事始めなので配信は10以上になりますが、今年はやはり特別で個人的には少ないという印象です。但し、風評を恐れて、今年は敢えて微信に投稿していないのかもしれません。通常、1年の仕事始めなので、中国の習慣上、おめでたい言葉や明るい表情マークだけになるのですが、一部にそうでないものもあります。中国人サラリーマンの複雑な心境が伝わるでしょうか?

 実は弊社も一部社員の中国式仕事始めは2月12日でした。お客様の業務を代行するサービスがありますので、お客様が中国式仕事始めになれば、一部社員はどうしても出社せざるをえなくなります。もちろん一昨日(2月11日)に中央政府から地方当局に対して事前審査等で企業の再開を妨げてはならないとのお達し(資料23参照)があったので、この影響も大きいです。中央政府はようやく決心をして業務再開(中国語で復産復工)に大きく舵を切りました。地方当局としては中央政府のお墨付きをもらったので、責任問題にならずに済んだことでしょう。

 ちなみに私は昨日も今日も在宅勤務です。営業なので、お客様の日本人も基本的に在宅勤務、或いはそもそも中国大陸にいらっしゃらないからです。会社のグループチャットからは他にも業務上出社の必要がない社員は在宅勤務であることが分かります。昨日から出勤している社員は未婚者です。おそらく深圳出稼ぎ組で、家族は地元で、深圳自宅に1人住まいのはずです。

今回のまとめ:家族にも会社にも誠実に最善を尽くすには、...? 中国在住のサラリーマンの苦悩は続きます!

写真1-35:中国式仕事始め(1)

中国式仕事始め(1)

写真1-36:中国式仕事始め(2)

中国式仕事始め(2)

写真1-37:中国式仕事始め(3)

中国式仕事始め(3)
 

2月17日「出勤再開の準備!」

 本日(2月17日)から出勤を約1ヶ月ぶりに再開しました。昨日(2月16日)からその準備で忙しくなりました。

 実は2月10日から文字通り自宅から一歩も外に出ていませんでした。そのため昨日は6日ぶりの外出でした。尾籠な話になりますが、その間ごみ捨てもできなかったので、6日分をまとめて出した次第です。当たり前ですが、自己隔離をする場合でも外部からの助けがなければ、健康的な生活を継続するのは限界があることを再確認しました。食事に新鮮な緑の野菜がなくなり、終盤はジャガイモやトマトや卵といった比較的日持ちがするものだけで食事を作らなければならないこともダメージになります。

 それから、この引きこもり期間に居住マンションの入境管理がまた厳しくなり、事前に中国語で微信公衆号の「i深圳」(健康コード)に自己申告をしておかないと入境できなくなったことも1つのハードルでした。

 自宅のドアから片道せいぜい100m程度なのですが、約1週間で下記のような変化がありました。

  1. 大弾幕の増加(マスク着用、よく手洗い、よく換気)(写真1-38参照)
  2. マンション内にも「マスク着用」張り紙
  3. 小規模スーパーにも「マスク着用」張り紙
  4. マンション入境時の検温+「i深セン」自己申告のQRコードチェック

 上記の【見聞】については写真も撮影したので、後日改めて整理します。

 今回は(1)の写真だけ添付しておきます。

 それから、【共有】としては下記がありました。

  1. 産経新聞朝刊「トヨタ 中国2工場あす再開」2020年2月16日
  2. 外務省海外安全ホームページ最新情報「浙江省温州市がレベル3(引上げ)、その他中国がレベル2」

 上記の(5)では、日本を代表するトヨタさんでも中国工場を2月17日から再開することに勇気づけられ、(6)では外務省からのメールで少し弱気になりました。

 COVID-19(新型肺炎)の拡散は、中国の内と外からでは異なった見え方がすることを再確認しました。

今回のまとめ:前線に出ざるをえないので、自分にできる事前準備に注力しました!

写真1-38:マスク着用、よく手洗い、よく換気

マスク着用、よく手洗い、よく換気

写真1-39:防疫は(人民の)責務だ

防疫は(人民の)責務だ
 

2月17日「出勤再開の初日!」

 本日(2月17日)から出勤を約1ヶ月ぶりに再開しました。約1ヶ月ぶりの出勤なので、下記のような変化がありました。

  1. 勤務時間の再短縮
  2. 入居マンションの入境二重チェック
  3. タクシー出勤 → 特に問題ありませんでした!
  4. 会社入居のオフィスビル入境チェック
  5. マスク廃棄専用ゴミ箱と宅配便郵便物置き場
  6. 「企業複産複工登録表」
  7. 気温11度とよく換気
  8. 弁当と電子レンジの行列
  9. 2020年2月の家賃支払い → 全額免除、半額免除、一部免除等
  10. 微信「附近の新型肺炎調査」

 上記の【見聞】については写真も撮影したので、後日改めて整理します。

 今回は(1)について少しだけふれます。小さい会社は、柔軟な対応がしやすいこともあり、勤務時間が再短縮されました。午前9時半から午後は16時半までの6時間半勤務(昼休み30分)を実施してくれており、今日はタクシーで帰ったこともあり、17時には自宅に着きました。本当に大変ありがたいことなので、十分な睡眠時間をとって免疫力アップに努めます。

 ちなみに写真は防護ゴーグルです。眼鏡をかけたまま着けられます。本日会社から支給してもらいました。マスクだけでなく、ゴーグルも持久作戦の武器になりました!

 広東省深圳市は昨日まで死亡がゼロだったのですが、ついに死亡2人になりました! 持久作戦は徐々に新局面に移行していきます。

今回のまとめ:何か象徴的な日が出勤再開の初日となりました!!

写真1-40:ゴーグル(1)

ゴーグル(1)

写真1-41:ゴーグル(2)

ゴーグル(2)
 

2月19日「マスクは1日1枚支給!」

 昨日(2月18日)また会社からマスクを支給してもらいました。おそらく今でもマスクは品薄で、ほとんどのお店で品切れなので、大変助かります。写真は昨日支給してもらった1袋7枚入りのものです。1週間分として支給されました。

 深圳事務所の社員は約20名なので、毎週140枚必要です。弊社だけで1ヶ月560枚になります。

 弊社が取得した「企業復産復工登録表」にはチェック項目がいくつかあり、そのうちの1つは下記の一文です。

施設物資状況:2、すでに社員が毎日の仕事で必要なマスクが準備されている(7日以上)

 弊社は中小企業なので、数百枚程度ですが、従業員が数百人、数千人の会社ならマスクを準備するだけでも大変です。

 深センにおける品薄が、家庭需要よりも弊社のような法人需要によって引き起こされていることは容易に推測できます。

 ちなみに弊社の総務にマスクをどのくらい準備してあるのか聞いてみたところ1ヶ月は全く問題ないとのことでした。

今回のまとめ:素直に一言「非常感謝中国好老板!(日本語訳:中国のいい社長さんに大変感謝しています!」

写真1-42:会社から支給された日本製マスク

会社から支給された日本製マスク

 

2月20日「広東省深圳市の「企業業務再開登録表」」!

 写真1-43は深圳市福田区ですでに業務再開をしている企業の「企業業務再開登録表」(或いは企業復産復工登録表)です。2月17日「出勤再開の初日」で(6)「企業復産復工登録表」と表記したものです。慎重な日系企業はまだ深圳で業務再開していませんが、業務再開する場合でも許可申請で下記がチェックされているようです。日本の社長さん、或いは管理部の方にとって参考になるので、ご紹介します。

【日本語意訳】

一、防疫機構の状況:

  1. 社員に防疫教育済み。
  2. マスク配布、事務所消毒及び定点検温の担当者を配置済み。
  3. 予防ガイドラインの設定:(具体的には)
    • 人員が集まらないようにする措置。
    • できるだけインターネットを使用して事務所でもコミュニケーションをする。
    • 外食や出前で感染の可能性を増加させることがないように社員に弁当持参を要求する。
    • 通勤ではできるだけ人が密集する公共交通機関を使わない等に注意させる。

二、社員調査の状況:

  1. 毎日少なくとも2回社員の検温をし、健康台帳に記録する。
  2. 社員はすでに「個人健康申告」(訳者注:(2月7日)「個人健康自主申告表」を指すと思われる)を提出済みである。
  3. 社員は湖北省の方と接触していないことを調査済みである。
  4. 社員は業務再開前に全員自己隔離済みである。

三、施設物資の状況

  1. 検温計が準備済みである。
  2. 社員が毎日の業務で必要なマスクが準備済みである。(7日以上)
  3. アルコール等の消毒液等が準備済みである。
  4. 会議室は発熱した社員の隔離区域とする。

四、内部管理の状況

  1. 事務所に出入りする者に検温を実施する。
  2. 事務所は毎日2回以上消毒する。
  3. 社員に昼食は個人のデスクでするように要求する。

今回のまとめ:備えあれば、憂いなし(中国語で有備無患)!

写真1-43:企業業務再開登録表

企業業務再開登録表

 

2月25日「事務所のグリーンゾーン化!」

備品

 広東省深圳市の「企業業務再開登録表」によれば、備品として検温計が必要です。

三、施設物資の状況

  1. 検温計が準備済みである。
  2. 社員が毎日の業務で必要なマスクが準備済みである。(7日以上)
  3. アルコール等の消毒液若干が準備済みである。
  4. 会議室は発熱した社員の隔離区域とする。

 もちろん弊社にも備品として検温計があります。ちなみに弊社には幸い会議室があるので、上記の4にも対応可能です。

 蛇足になりますが、深圳は家賃が高いので、一部お客様はビジネスセンターを利用していたり、小さい事務所なので、社内に会議室がない会社もあるのですが、このような会社が上記の4にどのように対応したのかは現在不明です。

 弊社には備品として下記があります。

(A)銃型検温計(額等で瞬時に検温):(写真1-48と写真1-49を参照)

(B)スチーム噴射機:写真1-50の白い機械参照
(C)靴拭きマット(消毒液散布済み):写真1-50の水色のもの参照
(D)消毒液散布機(園芸用ジョウロ):写真1-51を参照
(E)マスク専用ゴミ箱:写真1-52を参照

(F)電子レンジ3台(弁当を温めるため)
→以前から弁当持参社員が多かったので、3台あります。

 消毒液散布機は、消毒液を散布してからモップ拭きしています。

今回のまとめ:弊社は「企業業務再開登録表」だけでは不十分と判断し、上記の(B)、(C)、(D)、(E)も自己判断で購入したようです!

写真1-48:銃型検温計(1)

銃型検温計(1)

写真1-49:銃型検温計(2)

銃型検温計(2)

写真1-50:スチーム噴射機

スチーム噴射機

写真1-51:消毒液散布機

消毒液散布機

写真1-52:マスク専用ゴミ箱

マスク専用ゴミ箱

消耗品

 広東省深圳市の「企業業務再開登録表」によれば、消耗品としてマスクと消毒液等が必要です。

三、施設物資の状況

  1. 検温計が準備済みである。
  2. 社員が毎日の業務で必要なマスクが準備済みである。(7日以上)
  3. アルコール等の消毒液若干が準備済みである。
  4. 会議室は発熱した社員の隔離区域とする。

 もちろん弊社でも消耗品としてマスクと消毒液等があります。弊社には消耗品として下記があります。

(A)(日本製)マスク:2月19日「マスクは1日1枚支給!」参照
(B)(アルコール)消毒液:写真1-53と写真1-54と写真1-55を参照
(C)ポンプ式液体せっけん:写真1-56を参照
(D)トイレットペーパー

 上記の(B)を散布して消毒する同僚が多いです。デスクやカバン等に散布した場合は、会社消耗品のトイレットペーパーで拭いています。またはトイレットペーパーに消毒液を振りかけてから拭くこともあります。私もトイレットペーパーを使用しますが、自宅からキッチンペーパーを持参して、用途によってキッチンペーパーとトイレットペーパーを使い分けています。例えば、キッチンペーパーを手洗い後のハンカチ替わり、或いは出勤後のデスク消毒で使用します。

今回のまとめ:弊社の消耗品は「企業業務再開登録表」にほぼ準拠しています!

写真1-53:(アルコール)消毒液(1A)

(アルコール)消毒液(1A)

写真1-54:(アルコール)消毒液(1B)

(アルコール)消毒液(1B)

写真1-55:(アルコール)消毒液(2)

(アルコール)消毒液(2)

写真1-56:ポンプ式液体せっけん

ポンプ式液体せっけん

新ルール!

 広東省深圳市の「企業業務再開登録表」によれば、予防ガイドラインとして下記があります。

3、予防ガイドラインの設定:(具体的には)

 おそらく上記も考慮されて弊社には下記の新ルールができました。

(A)時短勤務:9時半~16時半(昼休みは12時半~13時)
(B)掃除のおばさんサービス一時停止 → 社員が交代で床消毒(約1ヶ月に1回)
(C)指紋による出退勤チェック一時停止
(D)消毒液マットで足裏を消毒
(E)お客様にお会いするのに適当な服装:一時停止

 上記の(A)は、2月17日「出勤再開の初日!」でふれました。

 (B)はできるだけ社員以外が事務所に入らないようにする措置です。代わりに毎日社員が交代で床消毒(写真1-57を参照)をし、ゴミ箱は各自がデスク附近のゴミ処理をすることになりました。

 (C)は指紋認証のために機器に触れなければならないからです。

 (D)は出勤後やトイレに行った後に靴やスリッパの下にウイルスが付着する可能性があるからです。

 (E)は社員が個別に総経理と相談しているようです。

今回のまとめ:通勤は各自で自家用車出勤タクシー出勤をしています。地下鉄を利用している社員はレインコート薄手のゴム手袋着用の同僚もいます!

写真1-57:社員清掃当番表

社員清掃当番表

 

2月27日「オフィスビルのグリーンゾーン化!」

 広東省深圳市の「企業業務再開登録表」によれば、内部管理として下記があります。

四、内部管理の状況

  1. 事務所(オフィスビル)に出入りする者に検温を実施する。
  2. 事務所は毎日2回以上消毒する。
  3. 社員に昼食は個人のデスクでするように要求する。

 基本的には上記の1と2に対応しているのを観察できます。オフィスビルは不特定多数が出入境するので居住マンション同様にグリーンゾーン化の難易度が高いと言えます。

 写真1-58は、2月17日の出勤再開の初日!の様子です。会社入居オフィスビルの入り口で検温と姓名、事務所部屋番号及び携帯番号を記載する必要がありました。よって、効率が悪く、入り口に行列ができてしまいました。

 写真1-59は2月24日以降の会社入居オフィスビルの入り口を18階から撮影したものです。

 写真1-60は記憶ベースですが、2月21日頃に発行されました。2月24日からはカードを提示すれば、姓名等の記入が不要となり、入り口の検温だけになりました。そのために会社入居オフィスビルの入り口で行列はできなくなりました。

 このようにオフィスビルのグリーンゾーン化は、検温と通行証で人員の入境をチェックすることで実施しています。できる範囲でグリーンゾーン化をしていますが、新型肺炎の特性を考慮すると十分なグリーンゾーン化にはなっていません。より徹底したグリーンゾーン化は居住マンションが実施しています。

 最後に写真1-61はマスク廃棄専用のごみ箱設置です。

今回のまとめ:深センにおける見聞からは、公共交通機関(地下鉄やバス)の次にグリーンゾーン化が難しいのはオフィスビルになりそうです!

写真1-58:オフィスビル出入口(1)

オフィスビル出入口(1)

写真1-59:オフィスビル出入口(2)

オフィスビル出入口(2)

写真1-60:会社オフィスビル通行証

会社オフィスビル通行証

写真1-61:オフィスビルマスク専用ゴミ箱

オフィスビルマスク専用ゴミ箱

 

4月23日「会社のお昼は弁当が少数派に」

 勤務先は2月14日から業務再開し、当初は全員が弁当持参でした。約2ヶ月が経過し、本日は気がつくとデリバリーが多数で、弁当は少数になりました。写真は昼食後に水洗いをした弁当箱です。

 私はもうしばらく弁当持参を続けます。

写真1-93:昼食後に水洗いをした弁当箱

昼食後に水洗いをした弁当箱

 

6月2日「時短勤務の終了」

 昨日から通常勤務です。2月14日(金)から実施されていた6時間半の時短勤務が終了しました。

 時短は昼休みが30分でしたが、通常は1時間半です。

 中国人スタッフの大半は、昼休みに仮眠をとります。

 やはり昼寝をしたほうが午後にも活力を維持できるようです。



おわりに

 基本的に政府の指導に従い、勤務先は比較的スムーズに業務再開ができました。深センでは中国系大手企業、或いは日系企業の方が独自判断でかなり慎重に業務再開をしました。

 勤務先は現地系の小規模コンサルティング会社で、2004年設立のために2003年のSARSは経験していませんが、今回の新型コロナではできる対応をしてくれたので、大変感謝しています。

 防疫対策の実務では、「企業業務再開登録表」が指針となり、大きな役割を果たしました。マスク等の物資が不足していた際には、防疫物資を準備できない会社にとっては実質的な業務再開の停止措置となってしまった面はありましたが、当時の状況ではやむを得ませんでした。

 新型コロナの感染拡散のような緊急事態の際に会社がどこまで責任を負うのか明確にすることは非常に重要です。社会として非常時における会社の役割を議論すること、また会社としても事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)の一環として事前に基本方針を定めておくことも重要です。

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