一日本語学校の視点から見る中国北京の日本語教育職業高校職業高校は、中国の学歴教育であり、以前の計画経済下においては国営企業に対して初歩的な職業技能を有する高卒レベルの人材を供給する学校として重要な役割を担っていた。 しかし、第1に中国において計画経済の労働配分制度が徐々に廃止されたこと、第2に中国、とりわけ北京市において4年制大学進学熱が高まったを受け、職業高校はその役割の変容を求められた。 北京市の職業高校改革は、市場主導で行われ、募集定員削減、学科廃止、学校合併等が急ピッチで進められた。 山口仲美1999に”1995年には、日本語コースが置いてある全日制の中学高校は、北京市ではただ一校(月壇中学・高校)のみ”との記述があるが、これはおそらく普通高校(普通高中)に限定した話であり、ここで問題にする職業高校を含めれば、2000年の時点で北京市朝陽区と西城区だけで少なくとも5校、2005年度では6校になる。 こういった市場構造下において本校が職業高校に対して提案したのは、日本人日本語教師による授業を目玉にした募集である。職業高校E校は2001年度に学生募集に失敗し、学科廃止の危機にあったが、2002年度募集から本校と提携し、これにより学生募集に成功した。 職業高校E校は公的資金で運営される学歴教育であるために教師の給与に対して上限規制があった。このため本校は日本人教師の市場価格よりもずいぶん安い価格で教育サービスを提供しなければならなくなったが、その学校に日本留学希望者がいる場合は、本校を紹介するとの了解で、長期的提携モデルとすることができた。 本校は上記の職業高校E校に加え、2003年はF校に新たに日本語を第1外国語とする学科を設立させ、2006年度にはG校とH校との提携が予定されている。 |
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中国 北京平成日本語学校 2006年1月 内田真人 |