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福助17号 |
発行所 :Y.H.アカデミー パトロン:森田ゼミナール様 |
地方分権推進について 報告者:山路博之 1995年5月、地方分権推進法が5年間の時限立法として成立した。この立法の内容は、主として、国と地方の役割分担を見直し、国の権限と財源を地方に移すことを目的としている。 法律の内容は、総理府に設置された地方分権推進委員会が「地方分権推進計画」の指針を政府に勧告することを軸としている。さらに、実施状況の監視、分権推進に必要な法律改正の検討にまで及んでいる。 推進法の基本方針には、国と地方の役割分担が明確に区別されている。国の役割として、外交や防衛など国家の存立にかかわる事務及び全国的な規模で行う政策をあげている。一方、地方の役割として、「地域における行政の自主的且つ総合的な実施の役割を広く担う」ことをあげている。こうした方針を具体化するために、地方自治体は国に対して、以下のような要求を求めている(A参照)。
[A]地方自治体が国に対して要求していること このような基本方針の遂行に対し、一方では現実に運営されている制度を守ろうとする意見も根強い。とりわけ、「機関委任事務」の廃止については、全国的な統一性や公平性が確保されないなどの理由から反対する声もあがっている。また、分権が進んだ場合の省庁再編の困難性など問題は山積みにされている。 地方分権推進を図るにはまず第一に、三割自治と呼ばれている低い地方自治財源をいかに確保すべきか、第二に、国民の民間活動、地方自治に関する全国的な統一ルールの制定等が不可欠となる。そして、これらを遂行するために旧態依然とした官僚指導型の制度を抜本的に見直す必要がある。地方分権推進は、住民の住民によるきめの細かい行政を最終的に目指すものでなければならない。
〈参考文献〉 |